過酷な条件に求められる強力なツール
フィンランド北部のケミ鉱山の上空にはイワツバメが飛び回っています。イワツバメは抗口近くに建てられたテントに出入りし、鳴き声が飛び交っていますが、そのテントに近付くと一定の抑制されたゴロゴロ音が聞こえてきます。
この音はRobbins 123RHリグの音です。テントの中で、非常に硬い岩盤に対して長さ560 mの換気シャフトを掘削しており、現在地下275 mに達しています。このシャフトはケミ鉱山の次の採掘レベルの地下1,000 mで使われます。
Orefields Raise Boring AB社のシニアスーパーバイザー、アンデシュ・ヨンソン氏は、高さ4 mの機械の前にある小ぎれいなキュービクルの中に座り、コンピュータ画面に表示される合力とトルクを監視しています。
「このようにすべてがうまくスムーズに進んでいるとき、私の仕事は油絵が乾くのを見ているだけのようなものです」と彼は微笑みながら述べます。「仕事は機械がするので、私がすべきことは監視して、聞き耳をたてておくだけです。リグが少し不安定になって音が荒くなったら、リーマーが硬い層に当たった印です。その場合は、トルクを遠隔で調整する必要があります」
リーマーは1時間に40 cmの速度で着実に進みます。ヨンソン氏はモニターでドリルがさらに1.5 m上がったことを確認すると、リグを停止させ、ドリルパイプを1つ取り外します。約3~4時間ごとにヨンソン氏はキュービクルから遠隔操作で一番上のドリルパイプアダプターを緩めます。長さ1.5 mのドリルパイプは、リグから取り外されると近くのベンチに置かれます。
ヨンソン氏は、瞬間に鳴り響く衝撃音に備えて耳あてを調整します。その後、キュービクルから出て、階段を登り、スレッドにグリースを塗布しに行きます。
これでプロセスは目標に1.5 m近付きましたが、地下ではさらに何トンものドリルパイプが稼働しています。
Robbins 123RHがもたらす多くの利点
Orefields社がケミ鉱山での工事を始めたのは8か月以上前です。同社は初めから条件が過酷であることを予見していました。
エピロックのRobbins 123RHがこの案件に適切な選択肢であることは明らかでした。「当社は事前に現場についての情報を得ていましたが、条件は予測を超えて過酷になりました」と、Orefields社のCEO、ヨハン・ティングストロム氏は認めます。
同氏はテントの裏の地面から何個かの石英を拾いました。その白い石はケミ鉱山で対峙した最も硬い石の1つです。
「この石の層が20 mあり、その後に柔らかい土が20 m続くこともあります。Robbins 123RHリグは、こうした条件に対して圧倒的かつ最も強力な機材であり、このような大型のシャフトに対応できます。ドリルの進行速度も条件を考えれば非常に優秀です」
パワーとトルクを組み合わせるレイズボーリング
エピロックのビジネスラインマネジャー、カール・ハンセン氏は、従来型のレイズボーリング(Robbins 123RHリグがこの現場で使用している方式)は、発破掘削方式に比べて安全で効果的であると述べています。
実効性はトルクとパワーの組み合わせに基づいています。
「最初に地表からトンネルまで細いパイロット穴を貫通させます。次にドリルストリングの底側の端のパイロットビットを大型リーマーと交換し、大きな力をかけて回転させながら引き上げます。この手法では、壁面が滑らかになるため、実際に使用するときに換気シャフトのエアフローが良好になります。火薬を使用しないため、安全で予測性に優れた手法です」とハンセン氏は説明します。