無駄にできる時間はない

地球規模の気候変動は大きな転換を必要とする重大な問題です。長期的に持続可能な社会を創造するには、再生可能エネルギーの割合を増やす必要があり、バッテリーが重要な役割を果たしています。
No time to waste case story
温室効果ガスの排出量の増加は、平均2℃の地球温暖化の危険性があることを意味し、さまざまなレベルで深刻な影響を及ぼす可能性があると科学者は指摘しています。最大の原因は化石エネルギーであり、エネルギーの抽出、処理、使用の過程で大量の温室効果ガスが排出されています。パリ協定で定めた目標(気温上昇を2℃以内に抑え、さらに1.5℃以下に制限する)を達成するには、確固たる努力が必要であり、そのための鍵は、再生可能エネルギーの割合を増やすことです。

再生エネルギーの生産は、化石資源や原子力の場合と同じように管理できないため、エネルギー貯蔵の必要性が高まるでしょう。「化石エネルギーとは異なり、再生可能エネルギーが尽きることはありません。世界的に見れば、太陽エネルギーと風力エネルギーが再生可能エネルギーの大部分を占めています」と、ヨーロッパ全域で持続可能なエネルギーを推進する革新的な企業である、InnoEnergy社でスマートグリッドおよび蓄電テーマリーダーを務めるボー・ノーマーク氏は述べています。

「化石燃料よりもクリーンではるかに効率的な再生可能エネルギーをエネルギーシステムに十分に取り入れることができれば、莫大な利益がもたらされ、これは最高の組み合わせになります」と彼は続けています。「貯蔵が懸念される場所では、当初は変圧施設の送電線で接続される大規模な貯蔵施設が必要でしたが、現在では、短期間の貯蔵の必要性が高まっており、このようなケースでは、バッテリーが大きな関心を集めています」

自動車業界では、大規模な電化への移行はまだほとんど進んでいませんが、すべての自動車メーカーが野心的プロジェクトを進めています。電化は、オートメーション、ロボット工学、医療技術などの分野でも増えています。「バッテリーの性能向上に伴い、それらの用途も広がっています。今では大型車でもバッテリーで動くようになりました」と、スウェーデンのウプサラ大学で教授(無機化学)およびÅngströmAdvanced Battery Centerの責任者を務めるクリスティーナ・エドストレーム氏は述べています。


このような開発が今後も続くことで、電池の高出力化と長寿命化、安全性と予測可能性のさらなる向上が求められます。電池の予測可能性は、バッテリーを破損せずに使用可能な容量を把握するのに必要であり、エネルギー量が増加するほど、安全性が重要になります。

「エネルギーの量を増やして、強力な電池を作ることはすでに可能ですが、バッテリーを内蔵した機器が損傷しないように、思わぬ反応がバッテリーに起こらないようにすることも最初に必要です」とクリスティーナ・エドストレーム氏は述べています。「次に重要なことは、高出力と高エネルギーを組み合わせることです。現在のバッテリーは、電力とエネルギーのいずれかが最適化されるように設計されていますが、機器を長時間j駆動させ、再充電もすばやくできるようにするなど、電力とエネルギーの両方を最適化したい場合もあります」

バッテリーの使用の増加は、電化への移行のための適切な条件を定めた政策から、(原料の抽出から電池のリサイクルまで)適切に機能する、長期にわたり持続可能な完全なエコシステムまで、多くのことが求められます。最新のバッテリーのほとんどは、大量に入手できない特殊な金属または金属化合物に依存しています。たとえば、鉄は年間約14億メートルトン採掘されているのに対し、ニッケルの採掘量は年間約100万メートルトンにすぎません。ニッケル、コバルト、リチウムの3つの主要な「バッテリー用の金属」の需要は劇的に伸びています。「とりわけ、自動車産業がその資源を確保したいと考えているのが理由です」と、原材料部門で世界最大の共同事業体であるEIT RawMaterials Northのゼネラルマネジャーのパー・ストーム氏は述べています。

「中期的には、コバルトが大きな問題です。コバルトは多くの場所で採掘されているわけではなく、他の金属の副産物であり、その大部分は、社会的および環境的な懸念があるコンゴで採掘されています」

「ニッケルに関しては、中国が急速に工業化していた1990年代よりも生産能力は高まっており、今後も増加することが見込まれます。リチウムの使用は3つの金属のうち最も低くなっていますが、リチウムの需要は大幅に増加すると考えられ、特にチリとボリビアで生産量の増加が期待できるため、需要の増加に対応できると思います」

海外 地下岩盤掘削 2019 顧客事例