2023年11月17日
オーストラリアとスウェーデンのエンジニアによる共同開発プロジェクトによって、探査掘削請負業者の作業環境を変えると同時に、鉱業のためにより迅速かつ効率的な作業を実現します。
何十年もの間、オートメーション技術の焦点は、当然のことながら、ほとんどが生産掘削に集中してきました。一方、探査掘削の分野では、オートメーションが遅れていました。実際、採掘プロセスにおいて、他のほぼあらゆる分野でオートメーションが進んだ現在、探査掘削は、最後のフロンティアだと多くの人が考えています。
しかし、それはもうすぐ過去の話となるでしょう。その大きな理由は、オーストラリアのオースドリルとスウェーデンのエピロックという世界有数の探査掘削を専門とする2社が、ユニークなコラボレーションを通じて、探査掘削の自動化時代への移行を可能にしたからです。
2018年、ペレンティグループの一員であり、オーストラリアの代表的な掘削サービスプロバイダーでもあるオースドリル社は、探査掘削産業において、「自動化」への強い需要があることを認識しました。同社によれば、鉱業界のいくつかの顧客は、特定の期間内に技術シフトを行うことを目指していました。
同社の事業開発・改善担当シニアマネージャーであるEric Gobbertさんは言います。
"「オーストラリアにおける掘削業界のリーダーとして、私たちは常に、従業員の安全性と作業効率を向上させるため、イノベーションの活用方法について検討しています。」"
オースドリルは、35年以上前に西オーストラリア鉱業地域の中心地カルグーリーで設立されました。同社は、RC とダイヤモンド/コアユニットの両方を含めて約40基の探査掘削リグを保有しており、増大する需要に対応するために大手メーカーと提携する必要があると判断しました。
同社とエピロックは、以前からドリルやブラストリグの開発で緊密に協力してきました。オースドリルは、両社が力を合わせて、特に RC (リバースサーキュレーション)技術における自動化の課題を解決するために協力することを提案しました。
このコラボレーションの成果として、エピロックによる最新の探査掘削リグである Explorac RC30 Smart が登場しました。これは、この種類のものとしては最初の RC ドリルリグです。
2023年10月に発売されたこのマシンは、完全自動化されたロッドハンドリング、高速運転、プロセス監視、遠隔制御、その他さまざまな改良が施されており、これまで以上に迅速、安全、効率的な作業を実現します。
Gobbert さんによると、このプロジェクトは、非常に具体的な問題を解決するためのものでした。
「私たちは、オペレーターが、リグ周辺の落下区域の外側で作業できるようにしたかったのです。私たちは、高度なインターロックと安全性監視、プロセスの継続的監視、信頼性とメンテナンスの向上を希望しており、それをできるだけ早く実現したいと考えていました。」
これに対し、探査掘削リグは生産リグよりもはるかに深い深度まで掘削するため、マスト領域の外側から複数のドリルロッドにアクセスする必要があり、オペレーターのリスクが高まります。つまり、トラックから供給されるロッドを使用する深い穴の場合、穴ごとに新しい位置からスタートするようロッドハンドリングシステムに「教える」必要があったのです。
したがって、Explorac RC30 Smart は、地表用途における探査掘削に大きな変革をもたらすものであり、探査技術を次のレベルへと格段に発展させるものです」と、エピロックの探査掘削担当グローバル製品マネージャーである David Benton さんは言います。
"このリグは、自動化されたシーケンスと組込型インターロックをシームレスに統合し、リスクの高い反復作業を排除すると同時に、これまでのエピロック製探査掘削リグの中でも最大のプルバック能力を提供します。"
Gobbert さんは、ハンズフリー技術と自動掘削プロセスを導入するための、長期プロジェクトに取り組むオースドリルのイニシアチブを強調します。
私たちはこれを「ハンズ・オフ・スチール(鋼鉄部品に触らない)」と呼んでいます。これは、ここオーストラリアのリバースサーキュレーション掘削産業にオートメーションを導入するにあたって、私たちのキャッチフレーズにもなりました。ロッドハンドリング機能のオートメーションという点では、当然に、ふさわしいモットーでした。」
Explorac RC30 Smart の開発段階では、自動化シーケンスの迅速化が重要な検討事項だったと、彼は指摘します。
「ロッドハンドラーシステムがオペレーターよりも高速であることを確認する必要がありました。高速でなければ、オペレーターは単に手動で作業を続行するだけでしょう。自動化によって達成されるメリットは無数にあり、限界がどこにあるのかまだ分かりません。
「私たちは、この設計と開発にとても熱心に取り組みました。なぜなら、これは『Enable Tomorrow and ‘Smarter Together(未来を実現し、共によりスマートに)」という Perenti の信条に合致したものだったからです。私たちの目標は、職場のリスクを最小限に抑え、チームを不必要な危険に接触させないことです。」
Explorac RC30 Smart は、作業性能と安全性を向上させるだけでなく、将来的なリグの特徴や機能の拡張にも対応できるように設計されています。その結果、オースドリルなどの請負業者は、新しいオートメーション機能が利用できるようになったときに、簡単に機器をアップグレードすることができます。
これにより、請負業者は業界の変化に対応し、ドリルリグの耐用年数を通じて、可能な限り高い投資効果を得ることができます。
技術的なブレークスルーだけでなく、新しい Explorac RC30 Smart は、一つになった心から生まれたものであり、パートナーの双方がこれを高く評価しています。
オースドリルの Eric Gobbert さんは言います。「私たちは、エピロックのこのプロジェクトに対する熱意と、私たちの要望を理解しようとする態度に、とても感銘を受けました。私たちが提供した仕様で、この新しいリグの設計に影響を与えることができると感じました。
「コラボレーションを開始してから最初の1~2年は、部品の摩耗が早くなったり、リグが自動モードに留まらなかったりするなど、多くの問題がありましたが、これらの問題はすべて克服されました。」
エピロックの側では、David Benton さんが、このプロジェクトは革新、コミットメント、コラボレーションというエピロックのコアバリュー(核心的な価値観)を示したものだと言いいます。
双方ともに大きな努力を重ねました。特に、新型コロナウイルス感染拡大による遅延を考慮すると、なおさらです」と彼は言います。「しかし、私たちのコミュニケーションはオープンで、 オースドリルはいつでも良き理解者であってくれました。」
試作品が、オースドリルに納品されました。新しいリグは、オースドリルの事業にどのような意味を持つのでしょうか?
「オペレーターが慣れ親しんだものとは大きく異なるため、基本的に、このリグでの掘削方法を新しく学ぶ必要がありました」と Gobbert さんは言います。「自動モードで掘削する方法を学ぶ必要があり、それには時間がかかりました。当社の保守チームもリグの機能について学ぶ必要があったのですが、エピロックがこの点でも手助けをしてくれました。
「Explorac RC30 Smart の開発により、お客様の要件に基づいた技術ロードマップを前進させることが可能になったのは間違いありません。競合他社が技術力を持たないために実現できないような、Tier 1のお客様とのプロジェクトにも入札できるようになることを願っています。」
このプロジェクトによって、探査掘削は自動化への道をしっかりと歩むことになったが、パートナーの両社は、さらに多くの共同作業を行うことに同意しています。Benton さんは次のように言います。「さらなる開発のための強力な基盤が整った今、私たちは、RC 掘削プロセスの最初から最後までの完全自動化に向けた技術革新に向けて力を注いでいます。」