騒音低減キットを備えたSmartROC T35

科学の場を広げる

2019年7月3日

スウェーデン第二の都市ヨーテボリは、都市圏を含む人口が100万人を超えます。スウェーデン西岸に位置し、海上には多数の美しい島が浮かび、トラムが市内を縦横無尽に走ります。3万本を超える植樹と、全長810kmにおよぶ自転車専用道路、教会のような建物の魚市場も有名です。


さらに、ヨーテボリは研究都市でもあります。ヨーテボリ大学には約3,000人の研究者、教員、大学院生が集まり、世界的レベルの研究が行われています。1,400種類のコース、190種類のプログラムを開講しているヨーテボリ大学は、スウェーデンで最も有名な大学の1つです。

大学の8学部のうち、サルグレンスカアカデミーと理学部の2つはMedicinareberget(「医学部生の丘」の意)にあります。ここでは、健康、医療、歯科治療に関する教育と研究が行われています。現在、理学部の将来の研究用に新校舎の拡張工事が進んでいます。

建築現場はヨーテボリ中心部の丘の上にあるため、岩盤掘削に関してはいくつもの課題と厳しい要件が課せられました。このプロジェクトの元請業者であるSkanska社は、さく孔発破作業の請負業者にStens Bergborrning AB社を選びました。
無線リモコンを使ってSmartROC T35を起動するオペレータ
Skanska社の生産マネジャー、ヘンリック・リンドストローム氏は次のように語ります。

「このようなプロジェクトを成功させるには、安全性、騒音低減、粉塵管理、振動制御という4つの要素が鍵を握ります。これは請負業者の作業内容について話し合う際に非常に重要な点でした。さく孔作業について、Stens Bergborrning AB社はすべての要求項目を満たしています。これはドリルリグの選択に負うところが大きいと思います」

"関係者とは常に連絡を取っており、プロジェクト開始前に、一流の請負業者と機器と手法を採用したのでご迷惑を最小限に抑えることをお約束しました。"

Henrik Lindström ,Skanska社生産マネジャー
今回採用されたドリルリグはエピロックのSmartROC T35です。付属の騒音低減キットは騒音レベルを10 dB程度低下させ、ドリルリグの隣で会話ができるほどです。特に今回のプロジェクトでは、集中集塵器を使用して粉塵管理の閉鎖システムを作り上げました。発破のための掘削のほかに、リグは地盤補強とボルト打設にも使用されます。この用途での掘削に使用される孔径は64/70 mmで、プロジェクトが進めば45/52 mmドリルビットが使用されます。合計4つのベンチがあり、地下20 mにまで達するので、1つのベンチは高さ約5 mになります。発破時間は厳しく統制され、週2回、火曜日と木曜日の午後12時30分に制限されています。

さて、都市環境において既存の建造物の近くで掘削することは常に難題をはらんでいます。しかも、この建造物がフル稼動中の研究施設であり、非常に繊細な機器を多数使用していることを考慮すると、さらに難度が上がります。その上、起伏の多い未整備の土地とくれば、SmartROC T35にもってこいの条件です。このドリルリグが地形対応性に優れているのは、振動式クローラトラックという機能のおかげです。
もう一つの課題は、転石層の除去、掘削、発破、運搬、地盤補強などの作業の調整です。ここでは計画とコミュニケーションが欠かせません。
Stens Bergborrning AB社のドリルリグオペレータ、ビクター・オーケソン氏は説明します。

「このドリルリグは市販の機器のなかで最高の製品です。特に地形対応性と安定性は抜群です」

さらにこう続けます。

「驚いてあっけにとられている人を何人も見ました。この機械が転倒せずにこんなふうに地面を登っていくことができるのが理解できないようです。掘削業者のオペレータのなかには、自分たちも振動式クローラトラックが欲しいと言いに来る人もいます」

ビクター氏は15歳から削岩業界でキャリアを積んでいます。彼は父親であり会社創業者であるステン・オーケソン氏についてさまざまなプロジェクトに立ち会い、今や会社の中枢にいます。

"このドリルリグは弊社で購入してから1,200時間ほど稼働していますが、今も順調に動いています。私たちが今立っているこの丘は来年の夏までに取り除かなければならないので、こういう信頼のおける機器がどうしても必要なのです。"

Victor Åkesson ,Stens Bergborrning AB社のドリルリグオペレータ
Victor Åkesson is operating his SmartROC T35 from the cabin.
この作業完了までに約100,000㎥の岩石が掘削されると予想されています。採石場で作業をしている方には大した量ではないと思われるかもしれません。今回のように都会の開発プロジェクトで、発破は週2回に制限され、研究施設のすぐそばで行われ、厳しい要件が課されるという厳しい条件の下では、これは膨大な量といえます。

騒音レベルは現場で絶えず測定され、SmartROC T35は要件制限をはるかに下回っています。騒音は主に他の機械から発生しています。

プロジェクトが終了し、新しい施設が建てば、研究者は最上階の窓から教会のような建物が見えるかもしれません。これが1874年から魚市場として有名な建物です。

SmartROC T35 海外 (スウェーデン) 2019 サーフェスアンドエクスプロレーションドリリング部門 顧客事例