テクノロジーの魔法

アメリカ東海岸の午前7時30分。空はまだ暗い灰色で、濃い霧が立ち込めています。ヘッドライトが遠くに見え、ゆっくりと、しかし着実に工場を出入りしています。自動ドリルの音がうなり、採石場で働く人たちを迎えます。しかし、この自動ドリルは普通のドリルではありません。これは、GPS対応のホールナビゲーションシステム（HNS）を搭載したエピロックSmartROC D60です。バージニア州に所在するLuck Stone社のスポッツルバニア採石場において、その困難な地質に立ち向かうとき、まるで魔法のようにこのマシンの真価が証明されます。

Luck Stone社は、常にテクノロジーをいち早く取り入れてきた。1923年にバージニア州で設立された同社は、粉砕機を蒸気から電力に転換した最初の骨材会社のひとつであり、1970年代後半から、最初の自動化プラントを保有していました。「私たちはテクノロジーを愛しています」と、43年にわたり家族経営の同社で働いてきた採鉱場開発・発破マネージャーのブライアン・スミスさんは言います。「私たちは、それをどのように展開するか、何に使用するかなど、賢く考えて検討するよう努めています。しかし、私たちはテクノロジーによって実現できること自体が大好きなのです。」業界リーダーとの長年にわたる協力的なパートナーシップも、Luck Stone社の強みの1つです。

Luck Stone社はエピロックをよく知っていましたが、ドリルを紹介し、一流のサービスを提供したのは、販売店のJames River Equipment社でした（この販売店自体、100年近い歴史を持つ会社です）。Luck Stone社の請負業者として25年以上の実績を持つNorthern Virginia Drilling社も、その技術に価値を見いだし、Luck Stone社の採石場の内外でエピロックのドリルを採用しました。スミスさんによると、エピロックに魅力を感じたのは自然なことでした。他のサプライヤーのドリルを何台も所有・運転してきましたが、エピロックのドリルは競合他社とは一線を画していたのです。「エピロックのドリルを他のドリルと比較すると、他のドリルと同等か、または優れていると言えるか？私たちは、そう感じています。」

エピロックのスマートドリルリグ（Luck Stone社は現在10台を保有）を使用する前は、作業は人間のオペレーターとドリル作業員の知覚に依存していました。複雑なタイトショットを紙に手描きしたり、テープを敷いて岩をペイントしても天候によってペイントが消されてしまったり、タイヤの位置が悪くて岩がずれてしまったりと、数え切れないほどの時間が費やされていました。これらの技術に対応したリグの能力をテストするため、Luck Stone社は、2022年8月から2023年1月にかけて、エピロックのHNS対応Measure While Drilling (掘削時計測：MWD)システムと3GSM Shot Planning (3Dショット設計用プラットフォーム)を組み合わせた試験を、バージニア州ロックビル工場で実施しました。MWD技術では、発破前に岩盤を目視と数値の両方で分析できるため、より安全で正確な作業が可能になります。ロックヴィル工場のコンディションは良好で、変成岩の掘削は他の工場に比べて向上しています。5か月の試用期間中、掘削と発破の情報が追跡され、見られた改善にLuck Stone社はとても喜びました。 

その結果、同社では、スポッツルバニア採石場での実験に意欲を燃やしました。スポッツルバニア採石場は、複数の生産リフトを保有する有名な採石場で、岩石の状態ははるかに過酷です。断片化の程度は、期待を下回るものです。空隙や空洞がほとんどない重度の接合部は、発破に困難をもたらし、不規則な切羽、重い負荷、不均一な床面、過大な岩石の原因となります。この困難な地質は、技術の試験を行うにはうってつけでした。

勤続11年になるピット主任のクリス・ブランハムさんは、印象的な改善点の数々を指摘します。掘削と発破の精度が向上し、過大サイズの岩石を低減し、ベンチの状態が改善され、安全性が向上し、機器の消耗が減り、生産性が向上しました。しかも、その真価は数字に現れています。HNSを搭載したSmartROC D60は、積込み時間を21秒短縮し、週あたり合計2.5時間短縮することができました。ピットでのブラックベルト時間は18％から13％に減少し、1時間あたりの稼働トン数は全体で14％増加しました。

Luck Stone社に17年間勤務しているシニア発破技術者のジョー・パーマーさんは、手作業による方法と比較して、このリグを使用することで、切羽面、ショットの設計時、掘削中に、より正確な測定値が得られ、必要な高精度の方位角を測定することができると言います。ドローン、デジタル写真、コンピューター計画、 GPS誘導掘削を使用するにあたり、プロセス全体がサムドライブに適合するように変革されました。勤続24年の発破マネージャー、ジョージ・フィールドさんは、このシステムはショットを高精度に並べることができるため、「発破作業員が自信を持つことができ、作業が楽になる」と言います。同じく24年間勤務しているピット主任のデビッド・ハーパーさんは、HNSは切羽に正確な負荷をかけるのに役立っていると付け加えます。Northern Virginia Drilling社の掘削オペレーター、ロジャー・スチュワートさんは次のように短くまとめます。「他のリグとは比較になりません。」 エピロックSmartROC D60は、作業全体にトリクルダウン効果をもたらします。ピットローダーオペレーターのグリフィン・ローバーさんは、掘削性が大幅に安定し、過大な岩石が減少し、サイクル時間が短縮され、トラックの流れが改善され、生産性が向上し、設備の処理がスムーズになり、全体的により楽になり生産性が向上したと報告しています。

 

市場がより自動化、自律化、スマート化された機器に向かって進歩を続けるなか、Northern Virginia Drilling社の共同経営者であるスコット・ミラーとショーン・ミラーの兄弟は、採石場や鉱山だけでなく、公共および民間の建設業界全体におけるテクノロジーの必要性を再認識しています。スポッツルバニアでの成果によって、HNSを搭載したエピロックSmartROCドリルは、貴重なMWD（掘削時計測）データを取得できるようになり、Luck Stone社は、さらなる分析を行い、掘削・発破プロセスを継続的に改善できるようになりました。実際のところ、Luck Stone社は、エピロックを搭載したマシンを、より危険な高壁条件や困難なブラストゾーンに投入する計画をすでに立てています。このMWDデータには、ドリルビットの貫通率、フィード圧力、回転圧力、フラッシング空気圧、計算された岩石硬度など、掘削されたすべての穴で得られた複数の測定値が含まれています。午後4時になると、ドリルの音が小さくなり、やがて聞こえなくなります。スチュワートさんは、リグコントロールシステムをオフにし、安全チェックを行い、エアコン制御された運転室から降りました（エアコンは、彼のお気に入りの機能の1つであると笑いながら付け加えました）。魔法はしばしお休みとなり、翌日に再開します。
 

Luck Stone社とエピロック

エピロックの販売店の中でも上位にあり、全米で毎年トップクラスの実績を上げているJames River Equipment社が、Luck Stone社とエピロックのとの間の提携関係を推進しました。Northern Virginia Drilling社は、エピロックと関係を築いており、Luck Stone社の影響力もあり、投資が決まりました。現在では、サプライヤー、サービサー、コントラクター、オペレーターの4社が力を合わせて活動しています。

成功への 5 つの鍵

1. お客様の投資を保護。テクノロジー
市場はすでにそこにあります。事業を成長させ、未来に遅れを取らないようにしたいのであれば、より安全で生産性の高いオペレーションを実現するテクノロジーを導入しましょう。

 

2. イノベーション
オペレーションに大胆で新しい発想を取り入れることは難しく感じられるかもしれませんが、エピロックによるトップダウンのリーダーシップとサポートにより、従業員をサポートし、設備と技術をアップグレードすることは、思っているよりも簡単になります。

3. パートナーシップ
エピロック、James River Equipment社、Luck Stone社、そしてNorthern Virginia Drilling社という四社間の相乗効果は、全員が1つのチームとして安全精度と生産性を向上させるために理想的なものです。この協力関係により、魔法が生まれたのです。

4. オイルフィルターの交換も必要です。設備
お客様の課題、克服する必要があるものを把握し、定評のある設備に投資しましょう。Luck Stone社とNorthern Virginia Drilling社は、エピロックの設備を導入することで、困難な地質においても成果を実現できました。

5. 人材
人材に投資しましょう。初期段階では追加コストになるかもしれませんが、長期的にはコスト削減につながります。定着率を高める技術が導入されれば、従業員はトレーニングや仕事上の機会を得ることができます。