Carl Lager さん(エピロックのキーアカウントマネージャー、シンガポール勤務)Tony Woolfe さん(エピロックの資産・サプライチェーン部門ゼネラルマネージャー、ブリスベン勤務)
Carl Lager さん(エピロックのキーアカウントマネージャー、シンガポール勤務)Tony Woolfe さん(エピロックの資産・サプライチェーン部門ゼネラルマネージャー、ブリスベン勤務)
鉱山の未来を支える
2025年9月8日
先進的なバッテリー駆動式掘削技術を活用
両社のコラボレーションはどのように始まりましたか?
Tony Woolfe「私たちは長年エピロック製の機器を使用しており、電動化が未来の方向性であることを強く認識していました。ただ待つのではなく、私たちは自らに問いかけました。『私たちのロードマップはどうなっている?次の未来には何がある?より良い未来に向けて、どのように貢献できるだろう?』 それがこのコラボレーションにつながったのです。」
Carl Lager:「Capital Limited の皆さんは、製品の完成を私たちに任せて、自分たちはただ待つようなことはしませんでした。開発を加速するよう求めたのです。そして、世の中の向かう方向を見据え、単なるエンドユーザーではなく、開発の一員となることを望んだのです。このことが、大きな違いを生み出しました。」
TW:「開発では、持続可能性が大きな要素となりました。Capital 社は、排出量削減に向けて動います。エピロックもその目標を共有しています。単に電動リグを製造するだけでなく、真の変化を生み出すために取り組んでいるのです。」
Capital Limited は、AngloGold Ashanti の Sukari 鉱山で、11台の SmartROC D65 ドリルリグを運用しています。
Capital Limited は、AngloGold Ashanti の Sukari 鉱山で、11台の SmartROC D65 ドリルリグを運用しています。
最も大きな課題は何でしたか?
CL:「最大の課題は、現在のバッテリー技術には限界があるということです。このサイズのドリルは、1時間ごとに充電が必要となるため、現在のバッテリーのみに依存することはできません。信頼性の高い電力網が不可欠です。しかし、多くの採鉱場では、まだ提供できていないのです。」
TW:「私たちは人々を説得しなければなりませんでした。当初は、懐疑的な見方もありました。運用上の課題や電力供給、採鉱場がバッテリー駆動のリグに対応できるのか、といった疑問が投げかけられました。エピロック社内でさえも、スケジュールを加速できるかどうか疑問に思う人もいました。」
充電には、どのように対応しましたか?
TW:「当初、ディーゼル発電機を稼働させることは、直感に反するように感じられました。私たちは、敷地内の太陽光発電所のグリッドをピットに接続することを最初は検討していたので、なおさらです。しかし、単一マシンのテスト用にグリッドを設置することは現実的ではなかったため、最終的に、バッテリー電動式掘削機の準備と実証に集中することにしました。長期運用のためのグリッドインフラの確立が第2フェーズになるだろうことが確認できました。より持続可能な選択肢が開発されるまでの間、発電機を使用するとしても、このテストは、掘削機の準備ができていることを証明したのです。」
CL:代替燃料についても検討しましたが、出力性能が不十分か、現時点ではコストが高すぎて、実用化は困難です。プラグイン電動リグへの移行は、たとえ初期段階でディーゼル発電機に依存することになったとしても、最善の決断のように思えました。このアプローチにより、Capital Limited とそのクライアントは、自社に適した将来のグリーン電力源の利用を検討することが可能となります。」
開発を加速できた理由は何ですか?
CL:「ゼロからバッテリー電動式リグを設計するのではなく、私たちは、実績のある SmartROC D65 を改造する道を選びました。このモデルは、Capital Limited が既に熟知し、信頼している機種です。このアプローチにより、稼働するプロトタイプを迅速に提供できただけでなく、パワーパックに完全に集中することが可能となりました。マシンの他の部分は、すでに信頼性が高く、十分にテスト済みであったからです。」
TW:「私たちは受動的ではありませんでした。より迅速に動くように、強く働きかけました。エピロックは、このスケールのバッテリー電動式サーフェスドリルリグに対して、市場の準備が整っているのかどうかや、電源の供給方法について確信を持てずにいました。そこで私たちは早い段階から関与を行い、フィードバックを提供し、運用上の課題を解決していきました。」
Tony Woolfeさん(Capital Limited の資産・サプライチェーン担当ゼネラルマネージャー)
それによって、コラボレーションの方法はどのように変わりましたか?
CL:「Capital Limited はスウェーデンとバンクーバーで私たちと協議し、チームと面会し、製造途中のシャーシを確認し、最終的な意思決定に至るまで支援してくれました。このようなレベルのコラボレーションによって、私たちが予想していなかったほど、開発が加速しました。間違いなく、今後も続いていくでしょう。」
TW:「周囲の人たちからは『君は完全にエピロック社員だね』と冗談を言われます。それは間違っていません。私たちはエピロックの機器、チーム、そして取り組みを信頼しているからです。それこそが、このパートナーシップがうまくいっている理由です。」
リグの現状はどうなっていますか?
CL:「現在、ブリティッシュコロンビア州でいくつかの小さな問題点を解決しながら、最終テストを実施中です。その後、エジプトのスカリ鉱山において、Capital Limited によるフィールドテストに移行する予定です。」
TW:「スカリ鉱山を選んだ理由は、現地に強力な技術チームがおり、クライアントである AngloGold Ashanti 社とも良好な関係と協力体制が築かれているためです。さらに、ここは、現地で大規模な太陽光発電所を運営している数少ない採鉱現場の1つであり、真にゼロエミッションのドリルリグを開発するために、長期的な重要性があるのです。」
Carl Lager さん(エピロックのキーアカウントマネージャー)
今後の予定は?
TW:リグがスカリで稼働したら、そこで学んだことを今後の展開に活かしていきます。目標は、電動式ドリルリグ一台の開発にとどまりません。私たちの事業全体にバッテリー電動技術を統合し、鉱山の発展に向けて積極的に貢献することにあります。」
CL:「エピロックは、バッテリー電動製品の拡大に取り組んでいます。2030年までに、排出ガスゼロのサーフェイス機器を、フルラインナップで提供することを目指します。この目標を達成するため、まさに、私たちが行っているようなコラボレーションが必要なのです。」
TW:「もちろん、イノベーションのコストが問題です。電気インフラに関する最初の見積もりは数百万規模でした。どんな企業に売り込むとしても、難しい話でしょう。しかし私たちは、早期に参入することで、長期的な差別化につながることを理解していました。さらに、現在、私たちのサプライヤーにとっての障壁は、インフラ戦略の欠如であることも認識していました。だから、私たちはエピロックに「これを作ってくれれば買うよ」と持ちかけることはしませんでした。むしろ、私たちは「インフラの構築を手伝いましょう。一緒に考えていきましょう。とにかく、実際に動き始めましょう」と誘ったのです。このプロジェクトは、バッテリー電動式リグが実環境下で機能することを実証するもので、より幅広い普及に向けた第一歩となるでしょう。」
企業紹介:Capital Limited
Capital Limited は、世界をリードする鉱業サービス企業です。鉱物産業の顧客に対し、掘削、採掘、保守、地質化学分析の包括的なソリューションを提供しています。Capital Limited は、持続可能性とイノベーションに取り組み、アフリカと北米の複数の国々で事業を展開しています。運用効率を向上させ、環境への影響を低減する高品質のサービスに定評があります。現在進行中のプロジェクトには、スカリ金鉱山、ベリンガ鉄鉱石プロジェクト、ネバダ金鉱山、ゲイタ金鉱山、ジャバル・サイード銅鉱山など多数あります。
パートナーシップを成功させるための3つの鍵
複雑な問題を解決する際に、最善の結果を得るためには、全員が同じ目標を共有することが重要です。Tony Woolfe さん(Capital Limited)と Carl Lager さん(エピロック)が、 SmartROC D65 BE 試験機プロジェクトの成功要因を語ります。
コミュニケーションと信頼
明確なコミュニケーションと信頼に基づく関係を構築することで、長期的なコラボレーションが保証されます。間違いは苛立たしいもので、大きな損失を招くこともありますが、間違いは必ず起こるものです。学びと成長を選択することで、彼らは、私たち全体としての成長にも貢献してくれています。
共通のビジョンと目標
強力なパートナーシップは、両者が共通の長期目標を共有し、それらを達成するために協力することで実現します。最終的に、 Capital Limited が成功することで、エピロックも成功するのです。
常に前進を
改善の余地はいつでも必ずあります。昨日うまくいったことが、今日はうまくいかないこともあります。効率を維持するためには、誰もが前向きに考え、成長できるようにしておく必要があるのです。